図4 カリリング体

図7 カッパープレート体

図6 イタリック体

図5 ゴシック体

図3 ローマの碑文

 

硬筆入門3

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活字の字体

 活字のような文字を書く練習をするとして、大体活字にはどんな種類があるでしょうか。

(明朝体)

活字の書体には色々なものがありますが、新聞、雑誌、単行本などに最もよく使われている書体は明朝体です。中国の宋時代の木版印刷に使われていた宋朝体を改良して明時代に確立した書体で、木版製作の能率を上げるため、何人かの職人が、縦画係、横画係、終筆係、曲線係といった具合に分業体制を敷いて作業をしたため、宋朝体よりも一層単純化された字体が出来上がったのだそうです。
 縦画は垂直、横画は水平で、縦画に比べて横画は細く、小さな面積の中でも読み取りが可能なように、点画を均等に配置して空間を有効に活用していますが、始筆や終筆に未だ若干楷書の特徴を残しています。
 明治に入って、活版印刷が我が国でも盛んになると、ひらかなの活字化が試みられ、全文字が同じサイズの正方形のかな文字が開発されました。

(ゴシック体)

 始筆・終筆に飾りのない書体で、縦画と横画の太さも同じです。明朝体よりも単純で、同じ文字を少ないビット数で表現できるので、コンピューターでは標準的な字体となっています。単行本などの印刷物にはあまり使用されませんが、単純でインパクトがあり人目を引くので、新聞や雑誌の見出しなどには使われています。

因みに文字の線の端に飾りを持たない字体を総称して我が国ではゴシック体と呼んでいますが、カリグラフィーでいうアルファベットのゴシック体とは別物です。

(教科書体)

 文部科学省の学習指導要領に基づいた字体で、手書き文字により近くなっています。明朝体にしろゴシック体にしろ、小さなスペース内での可読性を高めるために造形されるので、手書き文字とは異なる部分が生じます(例えば しんにゅうや糸など)
そこで学童の筆写の手本と合わせるために教科書体が作られました。現在小学校の教科書は教科書体が使われています。手書き文字に近づけるために、横画は若干右肩上がりで、縦画には消失点も見受けられます。

中学校になると教科書には一般の書籍と同じ明朝体が使われているようです。

 現在の文部科学省が定める書写体は、書道で習う古典に準拠した文字と異なるところがあります。

例えば「天」は小学校で第一筆を第二筆より長く書くと教えられますが、二玄社の「新書源」を見ると第一筆のほうが長い例は一つもありません(図1)。同じく「望」の右上にある月の第二筆ははねると教えられますが、「新書源」にはねている例はありません(図2)。

学童用のお手本を書く場合、つい昔通りの書体で書いてしまって教科書と違うと言われがちですが、これを避けるために、この教科書体の活字は有効です。木偏の第二筆は止めるのかはねるのか、日偏の縦画と横画はどちらが出張るのかなどと迷った時は、パソコンの教科書体をチェックすれば一発で分かり便利です。

アルファベットの字体

 昔、中学校の英語の時間に習ったアルファベットの活字体の大文字は、古代ローマの碑文に刻まれた文字が基本になっています(図3)。また小文字は6世紀になってフランク王国で使用されるようになったカロリングと呼ばれる書体が原型です(図4)。
 12世紀の中世ヨーロッパではゴシック体(別名ブラックレター)と呼ばれる荘厳な装飾文字が開発され、聖書などに使用されました(図5)。 ルネッサンス期になると、速写性に優れ見た目も美しいイタリック体が現れました(図6)
カッパープレート体は更なる速写性を追及して生まれた字体で、イタリック体と並んでカリグラフィーの主要な字体となっています(図7)。

中学校の英語の授業で教えるアルファベットの筆記体は、このイタリック体やカッパープレート体が母体となっていますが、最近の学校の英語の授業では、筆記体は教えなくなってきているそうです。欧米人と文通する時は手書きではなく機械を使えということでしょうか。

図 2

図 1